お知らせ

第21回GLP研修会について

2015年9月14日(月)日本消防会館ニッショーホールにて、(独)医薬品医療機器総合機構、(財)日本薬剤師研修センターの主催により、第21回GLP研修会が開催された。GLP研修内容の概要は、以下の通りであった。

1. 最近のGLP適合性調査について
  GLP(Good Laboratory Practice)の目的は、医薬品、医療機器、再生医療等製品、農薬及び化学物質等に関する毒性試験データの信頼性確保を目的とした、各種安全性試験を行う「試験実施施設」に適用される「優良な試験施設」の基準であることが改めて述べられた。また、最近のGLP適合性調査について以下の解説があった。

1)PMDA((独)医薬品医療機器総合機構)の役割について

  • 医薬品、医療機器、再生医療等製品の各種申請のために実施された「安全性に関する非臨床試験」の試験データ並びに試験施設のGLP適合性状況を確認(任意調査)すること。

2)PMDAによるGLP適合性調査のための関連法令について

    【法律】
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145 号:薬事法)。
  • 薬事法等の一部を改正する法律第84号(医薬品医療機器等法/薬機法)→ 改正薬事法
    【省令】
  • 厚生省令第21号(医薬品GLP省令)、厚生労働省令第37号(医療機器GLP省令)、
    厚生労働省令第88号(再生医療等製品GLP省令)
    【取扱い通知】
  • 薬食審査発1121第9号並びに薬食機参発1121第13号
    【業務方法書】
    【実施要領】
  • 改正GLP適合性調査実施要領(薬機発第1121005号)

3)その他

  • 平成26年度GLP適合性調査終了件数:総数38(内医療機器12)件でB評価が各1件あった。
  • 平成26年11月21日より「GLPに関する相談業務を」開始した。
2. 再生医療等製品の非臨床安全性試験について
 

再生医療等製品の非臨床安全性試験について以下の解説があった。

1)再生医療等製品の定義

  • ヒト又は動物の細胞に培養等の加工を施したものであって、遺伝子治療を目的として、ヒトの細胞に導入して使用するものとして政令で定めるもの。
  • 構成は、本質成分、非細胞成分及び製造工程由来不純物から成る。
2)非臨床安全性評価の指針
  • 再生医療等製品の種類によって指針等が定められている。
    細胞加工製品(7指針)、遺伝子治療製品(1指針と1ICH見解)及び腫瘍溶解性ウイルス(ICH見解)
3)非臨床安全性評価項目
  • 再生医療等製品の種類によって安全性評価項目が定められている。
    細胞加工製品(10項目)、遺伝子治療製品(9項目)及び腫瘍溶解性ウイルス(8項目)
4)動物を用いた毒性試験の概要
  • 基本として本質成分は毒性試験、また、非細胞成分や製造工程由来不純物では理化学的分析法を実施する。
    なお、再生医療等製品は、通常の安全性薬理試験の適用が製品特性の面から必須ではないものの、作用機序に基づく主要な生理機能(中枢神経系、循環器系、呼吸器系)評価は必要である。
5)GLP適用の現状
  • 医薬品医療機器等法/薬機法の改正に伴い、再生医療等製品の非臨床安全性試験は、原則としてGLP準拠試験が必要である。但し、現状の試験環境から当面の間非GLP試験も想定。→ PMDA相談(有料)
3. GLP制度改正後の運用について 
 

GLP制度改正後の運用について以下の解説があった。

1)一部改正「実施要領通知」の運用について -試験区分の変更-

  • その他の区分以外で、同一枠内にある試験項目の実施実績が、「過去3年以内に1試験」でもあれば対応する新区分が適合確認書に記載される。
  • 医薬品と医療機器に対する相互乗り入れに関しては、医薬品と医療機器で類似する試験項目について、一定の条件(抽出操作、被験物質の特性、安定性、媒体との均一性、安定性の測定等)を満たした場合に、一方の試験実績を他方の実績と見なし相互による適合性を認める。
  • 核型分析試験及び軟寒天コロニー試験に関しては非臨床安全性試験としての位置づけを現在検討中である。
  • 医薬品又は医療機器から再生医療等製品への乗り入れに関しては、過去3年間に再生医療等製品に関する試験実績がない場合でも相当する医薬品又は医療機器の試験実績があればGLP適合性を認める。
  • ガイドライン化されていない非臨床安全性試験については、個別に判断される。
  • 毒性試験に係る被験物質の試験(理化学試験等)については単独では非臨床安全性試験の範疇には入らない。
2)改正「取扱通知」について
  改正GLP適合性調査実施要領(薬機発1121005号)について解説があった
  • GLP適用承認申請資料としての最終報告書は、「GLPで規定する最終報告書の写し」を使用。
  • 適合確認書の写しは、「当該試験の直近時期のもの」を提出。
  • スイスを除いて外国政府機関(又はこれに準ずる者)の文書を添付する。
4. GLP適合性調査における留意事項について
 

GLP適合性調査における留意事項について以下の解説があった。

  • 申請時提出資料、提出先、手数料並びに申請書受理後の手続き等について。
  • 評価区分の変更として評価が「適合あるいは不適合」の2評価になったことに伴い、適合確認書の有効期間が「3年のみ(発行された日から起算)」となった。
  • 指摘事項区分が「口頭指導事項と逸脱事項」となった。
  • 逸脱事項の基本的解釈としては、(1)省令や施行通知の直接的要求事項の明確な欠落または違反、(2)省令や施行通知から解釈される要求事項の欠落または違反の場合。
  • 評価結果発出までの手順の改正として必要に応じて改善確認のための「追加調査」を実施する。
  • 個別の試験に対する適合性は、原則として判断しないが例外措置として取り扱う場合がある。
  • PMDAは、任意調査(随時調査)による書面または実地調査を実施し、問題があった場合は適合確認書を取り消す。
5. OECD GLPにおける最近の動向について
 

第29回OECDWG会合に関する報告があった。

1)MAD(データ相互受入)とGLP査察現地評価について

  • OECD GLPデータ相互受入(MAD)制度の実施で試験費用が「毎年約1億5000万ユーロ削減」されている。
  • OECD加盟国(現在34ヶ国)に対してMAD制度をより確かなものにするために、書面等での情報交換だけでなく、相互に実際のGLP査察を評価し合うことで加盟国間の更なる信頼関係を醸成することが目的。

2)MADに関するOECD理事会決定について

  • OECD非加盟国(MAD参加6ヶ国)のMAD受入れのためにGLP査察現地評価制度で「MADに関する81年89年のOECD理事会決定」を遵守できるか能力を検証。
  • データの受入義務は、「OECD加盟国とOECD非加盟国・MAD参加国」にはあるが、「OECD非加盟国・MAD暫定参加国」にはOECD加盟国のデータの受入義務はあるが、自国のデータを加盟国に受入させることは出来ない。
3)ディスカッショングループについて
  • 2008年OECD加盟国の査察当局間でGLP原則に関する解釈・指摘に相違が見られたことから、作業部会内に小グループが設立され、具体的な実施方法に基づき、2011年産業界にコメントを募集した。
  • 「<1>信頼性保証、<2>被験物質及び<3>コンピュータ システム」がOECDGLP作業部会で議論するテーマに決定した。
    2014年に上記テーマについて以下のことが決定した。
    <1> 信頼性保証:FAQの文書案が合意され、OECDのWebpageにFAQ掲載済み。
    <2> 被験物質:原案合意、パブリックコメント募集予定。
    <3> コンピュータ システム:OECD文書No.10(コンピューターシステムにおけるGLP原則の適用;1995年)を置き換える形で発出予定。
    <4> 上記テーマ以外も順次FAQ文書としてOECDのWebpageに掲載予定。
4)ISOとGLPに関する事項
  • ISO/IEC17025(試験所及び校正機関の能力に関する一般的要求事項)についてOECDは1994年11月の方針書として「ISO」は規制機関ではなく自主的な施設認証機関と考えられことから、ISO基準とGLP基準は異なるものであり、OECD審査当局ではISO基準で作成されたデータを受け入れないと結論した。
    その後、再検討のため2011年小グループを立ち上げ、パブリックコメントを募集している(2015年9月15日〆切)。
5)技術的議論
  • 最終報告書を「2つの言語で作成」は認められない。→ 1つの試験計画書に対して最終報告書は1つである。

6. GLP病理ピアレビューに対するPMDAの基本的考えについて
 

GLP病理ピアレビューについて解説があった。

1) OECDガイダンスNo.16のポイントとPMDAの基本的考え

  • OECDガイダンスNo.16(病理ピアレビュー・ガイダンス)は、ピアレビューを実施する際のGLP上の要求事項について記載されており、OECDガイダンス文書No.116ではピアレビューの実施手順について記載されている。
  • OECDガイダンスNo.16はOECDのGLP当局者間で合意されたものであり、かつ、国内外の関係団体の意見を反映させていることからPMDAでもGLP試験で実施された病理ピアレビューに対して指導する。
  • 病理組織学的検査所見の生データ化は、ピアレビューの前後を問わない。
  • 外部の病理専門家に委託する場合は、試験実施施設でのピアレビューの実施が望ましい。
  • 非GLP下で実施する場合、試験責任者は、可能な限り信頼性を担保する。
  • ピアレビューを実施するための必要事項は、試験計画書(GLP適用の可否等含む)、標準作業手順書に記載され、病理組織学的検査所見に大きな見解の相違がない場合には詳細な報告の必要はなくピアレビュー者の陳述書で良い。
  • 病理責任者とピアレビュー者間で見解が大きく異なった場合、解決の処理法や変更事項について最終報告書に記載する。
  • GLPでは、「各過程の透明性」の確保が求められるため、病理ピアレビューも時系列での関係資料の保存が重要。
7. GLP適合性調査の指摘事項の紹介及び質問に対する回答について
 

2014年07月〜2015年06月までに評価が確定した指摘事項の一部が紹介された。

1)資料保管に関する指摘

  • 適切な時期に資料保存施設に移管すべき資料が適切に保存されていなかった事例(4施設)。
  • 資料保存施設に保存されている試験資料の紛失、散逸、差し替え等の防止策が適切でなかった事例(4施設)。
  • 資料保存施設場所の変更に伴う移動に関するSOPの未整備や未実施、あるいは事前に手順が定められていない(2施設)。
  • 保存資料の処分確認記録が残されていなかったため、廃棄資料の特定が不能であった(1施設)。
2)被験物質の情報入手に関する指摘
  • 被験物質の特性・安定性情報に情報提供者の記名・捺印又は署名等がされておらず、情報の正確性に関する責任の所在が不明であった(1施設)。
  • 一般試薬を被験物質として使用する際に使用期限等の安定性情報が入手されていなかった(1施設)。
3)陽性対照物質の管理に関する指摘
  • 陽性対照物質に関して受領記録、収支記録の未作成や有効期限等の品質情報が入手されていなかった(1施設)。
4) 被験物質の保存用サンプル管理に関する指摘
  • 保存用サンプルが資料保存施設管理責任者によって管理させていなかった(1施設)。
5) 最終報告書に関する指摘
  • 試験計画書で規定された試験成立条件から「僅かに外れた値」が認められたが、最終報告書の「予見することができなかった試験の信頼性に影響を及ぼす疑いのある事態及び試験計画書に従わなかったこと」の項に記載されていなかった(1施設)。
  • 試験期間中に試験責任者が交代したが、最終報告書に前任者の氏名や任期が記載されていなかった(2施設)。
6) 機器に関する指摘
  • 新規導入のGLP機器に関する検証・確認記録がなかった(1施設)。
7) 試験の実施に関する指摘
  • SOPや試験計画書に採血のための許容時間範囲が定められていなかった(1施設)。
8) 事前質問事項に対する回答
  • 複数の構成剤からなる混合製剤に関して各構成剤の特性及び安定性に関する情報入手は「必須」となるが、「組成変化が生じないことが確認されている等」、一定の条件下では混合後の被験物質の特性及び安定性に関する情報は必ずしも求めない。
  • 電子的な文書・記録の保存のために、「紙媒体の原本」を新たに「電磁的記録媒体での原本」とする場合は、「真正性、見読性及び保存性」が確保されている限り差し支えない。
  • 電子アーカイブシステムに資料を保存する場合は、当該システムが保存のための十分な能力を有することやアクセス権限のない者がアクセスできないことを確立し、資料保存施設管理責任者の責任の元で管理する。
  • 電子データのバックアップ管理は、資料保存施設管理責任者の責任の元で管理する。
  • 外部契約型資料保存施設も受託試験施設と同様、調査の方法は、限定されない。
(2015年9月14日(月)開催の第21回GLP研修会より)


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株式会社 イ-・エス・サポ-ト





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