過去のお知らせ

第20回GLP研修会について

2014年9月8日(月)日本消防会館ニッショーホールにて、(独)医薬品医療機器総合機構、(財)日本薬剤師研修センターの主催により、第20回GLP研修会が開催された。GLP研修内容の概要は、以下の通りであった。

1. 最近のGLP適合性調査について
  2014年11月25日に施行される改正薬事法に伴うGLP適合性調査の制度改正についての説明がなされた。
  • GLP適合性調査の評価区分等の変更として「適否評価」を現行の3段階から2段階に変更予定。
  • 「再生医療等製品」に関係する「再生医療等製品GLP省令(平成26年厚生労働省令第88号)」の発出。
2. 薬事法改正について
 

2014年11月25日に施行される「薬事法等の一部を改正する法律;改正薬事法(平成25年法律第84号)」について説明が なされた。

1)医薬品、医療機器等に係る安全対策の強化

  • 添付文書の位置付け等の見直しとして最新の知見に基づき作成することやウェブサイトへの迅速な掲載等。
  • 薬事法の目的に保健衛生上の危害の発生・拡大防止のため必要な規制を行うことを明示。
  • 副作用等の報告先の一元化等その他。
2)医療機器の特性を踏まえた規制の構築
  • 薬事法の名称に医療機器を明示する。また、医薬品等とは章を区分して規定。
  • 許可制・認定制から登録制に改める。また、QMS調査を合理化し、製品群単位とする等その他。
3)再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築
  • 医薬品や医療機器とは別に章を区分して規定。
  • 条件及び期限付き承認制度の導入。
  • 安全対策の整備
  • 血液法(昭和31年法律第16号)の改正によりヒト血液を原料とした製品の製造を可能とする。
3. 「新しい試験区分と再生医療等製品GLP適合性調査について
 

医薬品及び医療機器並びに再生医療等製品の新しいGLP試験区分について説明がなされた。

1)医薬品の場合

  • 旧試験法全13項目を「T;in vitro毒性試験、U;in vivo 毒性試験及びV;その他の試験」という新しい試験区分にする。
    また、Uのin vivo 毒性試験に関しては、さらに4つの小区分(ア-1、ア-2、イ及びウ)を設定する。
2)医療機器の場合
  • 旧試験法全15項目を「T;in vitro毒性試験、U;in vivo 毒性試験及びV;その他の試験」という新しい試験区分にする。
    また、Uのin vivo 毒性試験に関しては、さらに4つの小区分(ア-1、ア-2、イ及びウ)を設定する。
3)医薬品と医療機器に対する相互乗り入れの場合
  • 医薬品と医療機器で類似する試験項目について、一定の条件(抽出操作、被験物質の特性、安定性、均一性、安定性の測定等)を満たした場合は、一方の試験実績を他方の実績と見なす。
4)再生医療等製品の場合
  • 医薬品並びに医療機器と同様に 「T;in vitro毒性試験、U;in vivo 毒性試験及びV;その他の試験」という新しい試験区分にする。 また、Uのin vivo 毒性試験に関しては、さらに2つの小区分(ア-1及びア-2)を設定する。
    ただし、病態モデル動物を用いる試験や造腫瘍性に関する試験等GLP試験区分に含まれない試験項目は、対面助言制度等での相談を推奨。
5)医薬品、医療機器並びに再生医療等製品に対する相互乗り入れの場合
  • T;in vitro毒性試験、Uin vivo 毒性試験の内2つの小区分(ア-1及びア-2)及びV;その他の試験の内、特定試験同士(受託病理等)は、一定の条件下において相互による適合性が認められる。
4. GLP適合性調査に関する制度改正について
 

薬事法改正に伴うGLP適合性調査制度の現時点(2014.09.08時点)での運用改善及び承認申請時におけるGLP適用試験に 対する取り扱いの変更について説明があった。

1)評価区分の変更

  • 現在の評価区分「A;(適合)、B;(改善すべき事項がある適合)、C;(不適合)」を「適合・不適合」にする。
2)指摘事項区分の変更
  • 現在の「自主的検討事項、改善すべき事項、不適合事項」を「逸脱事項のみ」にする。
  • 調査時の「逸脱事項」を文書で試験実施施設に提示し、回答(弁明、改善措置、改善計画等)を義務化する。
3)調査結果発出までのフローの変更
  • 試験実施施設からの回答書に対して「GLP評価協議(仮称)」を実施し、適合・不適合を判断する。
4)個別試験に対する適合性判断
  • 原則として個別の試験に対する適合性は判断しないが、必要な場合には試験または範囲の適合性を判断する
  • 「不適合試験」とは、試験実施施設自体が不適合となったため影響を受ける試験、または、施設は適合であるが、試験調査によりGLPに不適合と判断された試験。
  • 「適合試験」とは、初めてGLP調査を受ける以前に実施した試験や「適合を確認した試験区分」以前に実施した試験。
5)PMDA((独)医薬品医療機器総合機構)による任意調査の実施
  • 原則としてGLP適合性調査は、試験実施施設からの申請に基づくが、特別に必要性がある場合には、PMDAによる任意調査が出来るようにする。
6)その他の事項
  • 過去3年間に実施した試験リストの添付、最新の主計画書の提出、調査報告書の記載項目の変更、関係する外国政府機関への通知(不適合施設、不適合試験、適合確認書の取り消し)の明記等。
7)承認申請時におけるGLP適用試験に対する取り扱いの変更
  • GLP適用承認申請資料としての最終報告書は、「GLPで規定する最終報告書の写し」を使用。
  • 適合確認書の写しは、「当該試験に係る期間のもの」を提出。
  • 当該試験の適合性の判断基準の明確化。
  • いずれの国であっても外国政府機関(又はこれに準ずる者)の文書を添付する。
5. OECD GLPにおける最近の動向について
  1)GLP査察現地評価制度について
  • OECD GLPデータ相互受入(MAD)制度の実施で試験費用が「毎年約1億5000万ユーロ削減」されている。
  • OECD加盟国(現在34ヶ国)に対してMAD制度をより確かなものにするために、書面等での情報交換だけでなく、相互に実際のGLP査察を評価し合うことで加盟国間の更なる信頼関係を醸成することが目的。
  • 2008年から2014年3月末までに50プログラムの内25プログラムについて評価が終了し、2016年までに13プログラムを評価予定。
2)OECD非加盟国MAD参加国について
  • OECD非加盟国(MAD参加6ヶ国)のMAD受入れのためにGLP査察現地評価制度で「MODに関する81年89年のOECD理事会決定」を遵守できるか能力を検証。
  • MAD受入には4つの段階があるが、データの受入義務は、「OECD加盟国とOECD非加盟国・MAD参加国」にはあるが、「OECD非加盟国・MAD暫定参加国とOECD非加盟国・MAD非参加国」には必ずしもない。
3)ディスカッショングループについて
  • OECD非加盟国の査察当局間でGLP原則に関する解釈・指摘に相違が見られたことから産業界にコメントを募集した結果、「@信頼性保証、A被験物質及びBコンピュータ システム」に関してOECDGLP作業部会で議論するテーマに決定した。
  • 上記テーマについて2014年に以下のことが決定した。
    <1> 信頼性保証:FAQの文書案が合意され、OECDのWebpageに掲載済み。
    <2> 被験物質:原案作成中、次回WGで検討予定。
    <3> コンピュータ システム:OECD文書No.10(コンピューターシステムにおけるGLP原則の適用;1995年)を改訂した。
    <4> 上記テーマ以外も順次FAQ文書としてOECDのWebpageに掲載予定。
4)病理ピアレビュー・ガイダンスについて
  • 2014年OECD WGミィーテングで修正案を議論し、基本合意をしたため、正式発効手続中。
5)GLP査察官のためのトレーニングコースについて
  • 第11回OECD GLPトレーニングコースが日本で開催された(2013年28日〜31日)。
  • 第12回OECD GLPトレーニングコースはインドで開催予定(2015年10月12日〜15日)。

6. GLP適合性調査について
 

GLP適合性調査に関する制度改正、書類の提出並びにGLP適合性調査の効率化等について説明があった。

1)GLP適合性調査に関する制度改正について

  • 「薬事法等の一部を改正する法律;改正薬事法(平成25年法律第84号)」の平成25年11月27日公布に伴い、再生医療等製品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(再生医療等製品GLP省令)を平成26年7月30日公布し、平成26年11月25日施行する。
  • 調査資料等作成時に変更が生じる箇所としては「試験区分の新たな試験区分への変更」。
  • 再生医療等製品GLP適合確認を受ける場合のGLP適合性調査資料については、同時申請の場合には重複部分は省略(該当頁の引用記載可能)できる。
2)GLP適合性調査に関する書類の提出について
  • 電子媒体にて提出。
  • 適合性調査後、指摘事項(修正箇所)回答を相互に確認後修正版23部提出。
3)GLP適合性調査の効率化について
  • 原則5日間の調査日数を対象施設の規模や試験内容等で決定。
  • クローズドヒアリングは、試験実施施設又は調査側が要望した場合に実施。
4)外部契約型資料保存施設へのGLP適合性調査の実施について
  • 調査対象施設の一部とみなして、適時調査を実施するため、安全性試験調査申請書に情報を記載する。
  • 外部契約型サーバ設置施設に対しても外部契約型資料保存施設に準じて調査を実施。
7. GLP適合性調査の指摘事項の紹介及び質問に対する回答について
 

指摘事項と運用状況を理解して頂き、自施設運用の参考に資することを目的として、2013年07月〜2014年06月までに開催された GLP評価委員会で確定した指摘事項の一部を紹介したもので内容としては、以下の紹介がなされた。

1)資料保管に関する指摘
<1> 適切な時期に資料保存施設に移管すべき資料が適切に保存されていなかった事例。

  • 試験が終了した関係資料の資料保存施設への移管時期がSOPに規定されていた時期を超過していた。
  • 職員の研修記録、経歴、職務分掌を記した書類や旧版SOP原本が運営管理者の一時保管庫に保存されていた。
  • 数年以上前に廃止されたSOPや3年を超えるような主計画表、調査報告書が一時保管庫に保存されていた。
<2> 資料保存施設に保存されている試験資料の紛失、散逸、差し替え等の防止策が適切でなかった事例。
  • 試験に共通する資料(機器委の点検記録等)が取り外しの簡単なバインダーに保管され、貸し出しされていた。
  • 試験資料の移管時や返却時の確認方法の不備(返却者による目次ページ数と返却時におけるページ数との整合性確認)や取り外しの簡単なバインダーに保管され、貸し出しされていた
2)電子データの管理に関する指摘
サーバー上に保存されている生データが資料保存施設管理責任者の下で管理されていなかった事例。
  • 集中管理システムの生データが電子媒体としてサーバー上に継続蓄積し、施設管理責任者が管理していた。
  • 磁気データを生データと定義していたが、ハードディスク内に継続蓄積されるのみで移管されていなかった。
3)被験物質の情報入手に関する指摘
被験物質の物理化学的性状等に情報提供者(試験委託者)の責任が明確にされていなかった事例。
  • 被験物質の特性・安定性情報に情報提供者の記名・捺印又は署名等がされていなかった。
  • 被験物質の特性を記載した書類に日付、発行者の氏名、署名等がなかった。
  • 被験物質の情報提供用フォーマット自体に情報提供者の記載欄がなかった。
事前質問に対する回答として説明があった。一部を記載致します。
<1> 電子版SOPの閲覧用端末機について
  • 該当端末機(非GLP登録機器)からSOPを閲覧(専用)だけする場合は、編集や消去が出来ないことが確認されていれば問題ない。
<2> 終了した試験の再開について
  • 一旦終了した試験について、保存されている標本を用いたさらに詳細に毒性を調べる必要が生じた場合、一旦終了した試験(最終報告書作成後)については、別の試験として行うことが望ましい。
<3> 病理湿標本の保存期間について
  • 試験終了後長年を経過した病理湿標本を廃棄可能とするSOPを定める場合、薬食発第0613007号通知 記の第18号関係において試験関係資料の保存期間に関する規定や但し書を踏まえて各施設で適切な期間をSOPで定めて運用することは問題ない。
<4> 自社施設以外の資料保存施設での資料保存について
  • 同一の運営管理者により運営されていないGLP適合施設へ試験関係資料を保存委託する場合は、外部契約型資料保存施設としての対応が必要。
(2014年9月8日(月)開催の第20回GLP研修会より)


E.S. Support

株式会社 イ-・エス・サポ-ト





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