過去のお知らせ

第19回 GLP研修会(平成25年度)について

2013年9月9日(月)、日本消防館 ニッショーホールにおいて、(独)医薬品医療機器総合機構並びに(財)日本薬剤師研修 センターの主催による「第19回GLP研修会」が開催された。
医薬品医療機器総合機構理事の北條氏の挨拶に続き、以下の7項目の演題についての講演が行われた。

1. 最近のGLP適合性調査について
  医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部 部長 宮崎 生子
  GLPとは何かから始まり、GLP適合性調査の効率化についてのまとめが説明された。   特にGLP適合性調査の効率化についてのまとめでは、
  • 調査資料プレゼンテーションを省略し、質疑応答の時間を設けたこと、ボツアーの分班化やスタディーオーディットを調査員のみで進める自己調査形式も取り入れこと、一日ごとにまとめを実施することや事前提出資料を電子化したことなど。また、平成23年4月〜平成25年7月調査対象の18/71(およそ25%)において、前回の調査と比べて平均1日程度調査日数が短縮され効率化された。
2. 新医薬品の承認申請と適合性書面調査/GLP試験について
  (医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部 調査役 田島 康則)
  新医薬品を承認する際の適合性書面調査について以下を守るためと説明され、参加者へ協力をお願いしていた。
  • 非臨床試験、治験等の科学的な質と成績の信頼性確保、臨床試験における被験者の人権、安全及び福祉の保護のため。
3. OECD GLPにおける最近の活動について
  医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部 調査専門員 堀木 椎子
  OECDとは何かから始まり、特にGLP査察官のためのトレーニングコースは、1990年から定期的(2〜3年ごと)に開催されている。今年は日本のPMDAが主催者となり、第11回 OECD GLPトレーニングコースが東京幕張で2013年10月28日〜31日に開催される(アジア圏で初開催)。
4. 日本の他のGLPプログラム紹介〜農薬GLPについて〜
  農林水産消費安全技術センター 農薬検査部 主任調査官 佐藤 勝也
   GLP研修会、初の試みとして、医薬品GLP、医療機器GLP以外の他の日本のGLPの紹介として、農薬GLPについての発表がなされた。農薬についての説明及び農薬GLPについての説明があった。
農薬GLPは、農薬GLP制度「農薬の毒性及び残留性に関する試験の適正実施に係る制度」と農薬GLP基準「農薬の毒性及び残留性に関する試験の適正実施に係る基準」に準拠しているとのことであった。
農薬GLPの適合確認の流れは、以下の通りで査察の申請から適合(不適合)の決定までは約3ヶ月とのことであった。
  • 試験施設がFAMIC(独立行政法人 農林水産消費安全技術センター)へ適合確認申請を行う。
  • FAMICを経由し、農林水産省が申請を受理した後、FAMICが書類審査を行う。
  • FAMICが書類審査の結果を農林水産省へ報告した後、農林水産省がFAMICに査察の指示を行う。
  • 査察の実施結果を農林水産省へ報告し、農林水産省が適合確認した後、適合確認通知を交付する。
また、農薬GLPの試験分野としては、毒性試験、生体内等代謝(動態)試験、物理学的科学的性状試験、水産動植物への影響試験、農作物への残留性試験((平成20年度からGLP試験として認定)があるとのこと。
5. OECD 病理所見ピアレビュー ガイダンス文書について
  医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部 調査役代理 染谷 仁
  病理ピアレビューのガイダンス文書の合意を受け、このガイダンス文書ができた経緯、OECD文書の分類について、ガイダンス文書の概略と、今後の予定が説明された。まだ変更の可能性があるとのことであったが、記載予定の要求事項 をまとめると、以下のようになる。

 ピアレビュー実施の詳細について試験計画書(又は変更書)に明記すること、ピアレビューによって結論が変わった部分については、最終報告書に明記すること、Study Pathologist(以下SP)とPeer-review Pathologist(以下PP)の意見が対立した場合の解決方法をSOPs等に規定しておくこと、ピアレビューの報告は、実施者によってレビューした対象(組織・文書など)と準拠したSOPsを残すこと、ピアレビューの記録及び報告書には、実施過程と意見の再構築が行えるだけの情報を記載すること及び最終報告書には、PPとその所属を明記すること。

今後の予定としては、OECD Advisory DocumentのNO.16として発行される予定ではあるが、早くても2013年秋以降になるとのことだった。

6. GLP適合性調査について
  医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部 主任専門員 穴原 玲子
  近年、利用や問い合わせが増えている「デジタル画像を『生データ』として利用することについて」、「外部契約型資料保存施設へのGLP調査実施について」、「GLP適合確認書の英語版証明書の発行について」、「GLP適用試験について」、「ラボツアーに関して」、「再生医療製品の被験物質の考え方、注意点について」、「調査件数の傾向について」の説明がなされた。平成24年度の調査件数については、医薬品GLP:25施設、医療機器GLP:7施設とのことだった。その内、医療機器GLP対応の1施設がB評価であったことが説明された。
7. GLP適合性調査の指摘事項の紹介及び質問に対する回答
  医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部 GLPエキスパート 関田 清司
  指摘事項の内容としては以下の7つの項目が挙げられていた。
  • 動物の飼育管理に対する指摘、運営管理者への指摘、供試動物に関する指摘、資料保存に関する指摘、試験計画書変更に関する指摘、使用機器に関する指摘及びプロセス調査に関する指摘
質問は「最終報告書の信頼性陳述書について」や、「試験計画書における適合GLP基準の記載について」等、全部で9問あり、それぞれ回答が示された。
この内、動物の飼育管理並びに運営管理者への指摘は、動物の取り違え対策が不十分だったことが指摘された。
内容としては、動物の個体識別方法が曖昧であったことで動物を取り違え、結果として二重投与したことに対することであり、このことから、動物の取り違え対策の見直しを参加者にお願いしていた。
(2013年9月9日開催の第19回GLP研修会より)


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