過去のお知らせ

第18回GLP研修会(平成24年度)について

 2012年9月10日(月)日本教育館一ツ橋ホールにて、(独)医薬品医療機器総合機構、(財)日本薬剤師研修センターの主催による第18回GLP研修会が開催された。

1. 最近のGLP適合性調査について
  (医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部 田島 康則 氏)
   GLP試験を実施する試験施設に対するGLP適合性調査の効率化について 2011年9月より以下の効率化を順次実施しているとの 説明がなされた。
  • 施設側からの全体的説明は、省略し、調査員が明確にしたい点のみ議論。
  • ラボツアーは、調査区域を抽出し、調査員が分担して実施。
  • Study Auditは、調査員の自己調査形式とし、必要に応じて関係者に面談。
  • 口頭指導メモは、廃止する。
  • Closed Hearingは、必要に応じて実施。
  • 講評は、一方的な伝達、調査員の感想を廃止し、活発な議論を行う。
2. 医薬品の非臨床安全性審査とGLPについて
  (医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部 中野 賢司 氏)
   新薬審査部における毒性担当の業務説明、GLP非適用試験の扱い及び審査時に問題となるケースについて説明がなされた。
GLP非適用試験の扱いでは、現在ICHガイドライン(M3(R2))と国内のGLP関連通知とでは試験項目上に相違がある場合でも参考資料として評価する方針であり、原則としてGLP非適用試験の結果及び内容は否定しないことや審査時に問題となるケースとして試験計画、結果の解釈、技術的な問題及びその他として事例報告がなされた。
3. 医療機器の生物学的安全性試験法ガイダンスの改正と留意事項について-GLPの「観点から
  (国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部長 松岡 厚子 氏)
   医療機器の生物学的安全性試験法ガイダンスの改正と留意事項について説明がなされた。
  1. ISO/TC194(医療機器の生物学的評価)活動紹介では、「ISO10993」文書策定の最近の状況として以下の説明がなされた。
    • 細胞毒性試験への具体的試験法(コロニー法、MTT法やXTT法)の掲載
    • 有機溶媒抽出法について遺伝毒性試験、感作性試験や試料調製に掲載
    • 感作性試験にLLNA法の掲載
    • 発熱性物質試験にHCPT(Human-cell based pyrogen test)情報の収載
    • ナノマテリアルに対して「WG17」を新設
  2. 生物学的安全性試験法ガイダンスの改正に伴う変更点として以下の説明がなされた。
    • 安全性評価にリスク評価手法を取り入れることを明確化
    • 運用を明確化のための記載を追加
    • 新規試験法の追加(LLNA法、In Vitro小核試験、HCPT法)
    • 動物愛護に関する記述の加筆
    • 試験条件(使用動物数、動物実験の観察や評価項目)の変更
また、医療機器の特殊性(多様性)が生物学的安全性試験の実施や結果に対する評価を難しいものにしている。
4. OECD GLPにおける最近の活動について
  (医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部 染谷 仁 氏)
   GLP査察現地評価、Discussion Group、病理ピアレビューガイダンス、GLP査察官トレーニングコース、OECD非加盟MAD参加国及びその他の事項について以下の説明がなされた。
GLP査察現地評価(On-site Evaluation Visits)に関しては、MAD(OECD GLPデータ相互受入)制度加盟国間で相互にGLP査察を評価することで更なる信頼関係を醸成することを目的として2008年から2012年までに18プログラムが終了しており、PMDAでは2008年9月に評価を受けた。
Discussion Group については2008年Event with Industry in Italy に端を発したOECD加盟国の査察当局間でのGLP原則に関する解釈や指摘に相違があることに対して2011年OECD GLP Working Group Meetingで具体的な実施方法の文書化と合意がされた。 今後解決する事案としてQA、被験物質及びITが採用された。 GLP査察官トレーニングコースに関しては、OECD・MAD参加各国及び非加盟国を対象とし、1990年より「OECDで要求されているGLP査察の考え方・実施方法や各国でのGLP査察の調和、さらに査察官同士のネットワーク構築」を目的としたトレーニングコースを実施している。なお、2013年10月に日本(PMDA主催)で11thが開催される。
OECD非加盟でMAD制度への参加国については、2012年5月現在で5ヶ国(南アフリカ、シンガポール、インド、ブラジル及びアルゼンチン)また、暫定参加国が2ヶ国(マレーシア及びタイ)。
5. 医薬品及び医療機器GLP適合性調査について
  (医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部 穴原 玲子 氏)
   PMDAが実施している最近の医薬品及び医療機器GLP適合調査における新たな試みと今後の方向として以下について説明が なされた。
  1. 申請資料における調査対象試験の記載方法について
    • 「安全性試験調査申請書(様式10)の試験分野又は項目」については実施状況に応じて限定試験項目を明記する。
      例えば、遺伝毒性試験では「In vitro/In vivoに限る」等
  2. 「GLP適合確認に係わる資料(事前提出資料)」の記載事項の注意点
    • 「運営管理者の施設の活動状況の把握」について運営管理者における初版から最新版までのすべてのSOPs原本が適切に保管・管理されていることの確認方法について記載
    • 最終報告書や生データ等閲覧査察対象試験に係わった主要職員の退職・異動等がわかるように明記する。
    • 「動物及び動物飼育管理」では、生産者及び試験施設等が実施したワクチン接種、駆虫剤、防汚剤やその他薬剤の使用状況を記載する。
  3. 調査で適合確認を行う対象試験について
    • 原則として、過去3年間に実績がある試験とする。例外として「がん原性と発がん性試験」については過去6年間までの実績を基準とする。
  4. 調査までのスケジュール変更について
    • 事前提出資料の提出時期が「1〜1.5ヶ月」に変更。また、電子媒体(メール添付、CD-RやDVD-R)での提出可能。
  5. 調査方法の変更について
    • 「1.最近のGLP適合性調査について( 田島 氏))の詳細説明。
  6. その他の注意事項について
    • コンピューターシステム、温湿度システム等を利用したデータの取り扱いとして「真正性、見読性、保存性」について確認する。
6. GLP適合性調査への要望・質問に対する回答
  (医薬品医療機器総合機構 GLPエキスパート関田 清司 氏)
   GLP適合性調査への要望については8提案、事前質問に対する回答については8質問あり、解説がなされた。
  • 「明らかに試験の信頼性に影響を及ぼさないと考えられる事項」についての最終報告書への記載が不要な事例。
  • 遺伝毒性試験の投与液濃度測定について「最高試験用量において、十分な生育阻害や細胞毒性が観察されず、陰性の結果が出た」場合には濃度測定が必要。
  • 被験物質と媒体の混合物の安定性については、「試験開始前に行う」ことが原則であるが、出来ない場合には「投与開始前までに実施すること」で差し支えない。
(2012年9月10日(月)開催の第18回GLP研修会より)


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