過去のお知らせ

代替法学会・JaCVAM合同ワークショップ - 動物実験の3Rsにおける国際動向 -

日本代替法学会とJaCVAMとの合同ワークショップが2011年02月14日(月)、東大駒場キャンパスU・コンベンションホールに於いて開催された。 本ワークショップでは、約100名前後の参加者があり、大変盛会であった。

1. 実験動物と動物実験に対する国内外の規制強化とその対応 (日本チャールズリバー、池田 卓也氏)
 

日本は動物愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」が平成17年改正施行され、実験動物福祉に関する理解が向上し、欧米と比べて遜色のない基準に達している。しかしながら、欧州と比べ自主規制を主体としており、AAALAC(American Association for the Accreditation of Laboratory Animal Care) 等による第三者機関からの積極的な認証取得等が望まれるとのことであった。また、現在、動物の愛護・福祉に関し各行政で対応を行っているため、環境省を中心として「動物愛護管理法の改正案」を検討中 (平成24年 の通常国会に提出予定)とのことであった。

2. 動物実験代替法における国際動向 (国立衛研、JaCVAM;小島 肇氏)
 

欧米から地理的に遠く、動物実験の世界において日本は国際社会の中心にいないため、 代替法試験法開発に対する高い技力やバリデーションに対する勤勉な取り組みなど日本人の優位性を十分発揮していない。
一方、欧州ではREACH規則において代替 法による in vutro試験を認証し、試験法の公定化が進んでいる。したがって、世界のニーズに対応させ、世界をリードする戦略に欠ける結果となっている。
国際的動向としては、化粧品の動物実験の代替について、「化粧品規制協力国際会議(International Cooperation on Cosmetics Regulations, ICCR)」が、新たに代替法試験協力国際会議 (International Cooperation on Alternative Test Methods;ICATM) という「化粧品の安全性を国際協力を通じて確保するための情報交換の場」として、化粧品の規制について、アメリカ、カナダ、EU、日本が話し合うための枠組 みを作った(米国医薬食品庁(FDA)、カナダ厚生省、欧州委員会企業産業総局、日本の厚生労働省;代理としてJaCVAMの小島氏;2009年04月27日調印)。
また、日本の行政側からの対応としては、厚生労働省医薬食品局審査管理課より 各都道府県衛生主管部(局) 薬務主管課宛 事務連絡、平成23年02月04日付けとして、「医薬部外品の製造販売承認申請に添付する資料として、OECD等により採用された代替試験法 あるいはバリデーションでそれらと同等と評価された方法に従った試験成績の場合、当該品目の申請資料として差し支えない(主旨)」との見解が示された。

3. 日本発の代替法のOECDテストガイドライン化への取り組み (花王(株)、坂口 斉氏)
 

国際標準(グローバルスタンダード)が重要性 であり、安全性評価は、広く世界的に用いられている国際標準的な試験法で得た試験結果が 「信頼性の高い試験結果」と判断される。  したがって、OECDのテストガイドラインへの収載が望ましい。
OECDのテストガイドライン化は、1)試験法開発、2)施設間再現性評価(Ring Study)、3)検証(Validation)、4)第三者評価(Peer-review)の4段階に大別できるが、日本にとって最も重要なことは「3)検証(Validation)及び 4)第三者評価(Peer-review) 」をどの様に進めるのか、戦略的考えが重要であり、 そのひとつとしてICATMの影響下での国際的公定化が必要である、JaCVAMと協同しながら、ECVAMICCVAMと連携することが重要であるとのことであった。さらに、試験結果の適時発表目指すためには、欧米の関連学会等で積極的に英語による発表と論文投稿が重要とのことであった。

4. 製薬業界の3Rsへの取り組み (エーザイ(株)、佐神 文郎氏)
 

国際的取り組みについて、ICH(日米欧医薬品規制調和国際会議)において科学的に適切な動物試験のあり方が抜本的に見直され、3Rsに配慮した試験法の標準化(公定化)が行われている。
また、国内の取り組みについては、2005年01月日本製薬工業協会が、動物実験ガイドラインを制定し、参加企業がそれぞれ、内規を策定し、自主基準を作成したが、2006年06月「動物愛護管理法」が施行され、 厚生労働省における動物実験等の実施 に関する基本指針が発出されたため、各企業が、統一された基本指針に基づき内規を策定し、自主管理の体制を構築した。
外部評価制度については、財)HS(財団法人ヒューマンサイエンス振興財団)による外部評価認証やAAALACよる外部評価認証が行われている。

(2011年02月14日開催の日本代替法学会とJaCVAMとの合同ワークショッより)

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