過去のお知らせ

財団法人 食品農医薬品安全性評価センター 第15回学術講演会について
 財団法人 食品農医薬品安全性評価センター(以下、安評センターと称す)の主催による学術講演会がオークラアクトシティホテル浜松(静岡県浜松市)で開催された。
この講演会は、医薬品、農薬及び食品添加物等に関する安全性試験の受託機関である安評センターが安全性試験分野でのその時々のトピックス紹介する事を趣旨として1993年以来毎年開催しており、安全性試験関係者にとっては大変意義のある講演会であった。
今回の主な内容は、以下の通りであった。

  1. 遺伝毒性試験(コメットアッセイ)に関する最新情報の提供が安評センターの中嶋氏よりあった。
    ・in vitro試験で陽性の化合物については小核試験以外のin vitro試験を追加する場合、2次選択項目
     として従来では不定期DNA合成試験(以下、UDS試験と略)を実施する事が多い。
     しかし、ICHのS2(R1)ではUDS試験に関する記述がないとの事であった。
    ・最近、規制当局や行政サイドより化合物の安全性評価にコメットアッセイの実施が求められる様に
     なってきたとの事であった。
    ・しかしながら、当該試験に関するガイドラインは未制定である事から、日本、EU及び米国の5研究
     機関によるプレ・バリデーションを実施し、共通の試験計画書等を作成中との事であった。
     これらに伴い現在、国内(10試験機関予定)でのバリデーションを実施するため準備中との事であった。
    ・最終的にUDS試験の代替法試験として2009年を目途にOECDガイドライン施行を予定しているとの
     事であった。

  2. 医薬品の早期開発戦略-安全性評価を中心に-と題して、堀井 郁夫先生の講演があった。
    ・医薬品の創薬初期の候補品選定にはハイスループット*化が必須であり、また、構造活性と毒性相関から
     見たリスク評価やリスク管理に基づき的確に薬効・毒性を予想し、化合物を合成する事が望ましいとの
     事であった。
    ・創薬時の安全性評価で重要な事は「毒作用のエンドポイントの示唆」であり、この事は、開発後期での
     ヒトへの外挿性やヒト適用時の問題点の指摘・対策のための重要課題となるとの事であった。
    ・しかしながら、毒性学的検証の基本は形態学等に基づく組織・分子学的毒性評価が基本であり、ゲノム
     等の遺伝形質からの評価はそれらの発現機序を解明するための科学的ツールとの事であった。

    *ハイスループット法(High Throughput Screening):医薬品の創薬や開発分野で開発時間や費用の削減を目的として、多くの化合物を多数組み合わせ、短時間で評価するための方法である。ゲノム解析、定量構造活性相関(QSAR)、各種高度分析機器測定(HPLC、マス、IRスペクトル)等が一例。

  3. 遺伝毒性試験ガイダンスの見直しに関する講演が国立衛研変異遺伝部部長の林 真先生よりあった。
    ・ICHEWGでは2006年10月のシカゴにおいて「遺伝毒性試験(S2)」について、in vitro試験の
     標準的組合せ及び遺伝毒性を確認するための反復投与毒性試験のエンドポイントに関する内容について
     改訂を今後検討すること及び2007年5月のブリュッセルでのS2に関するICHガイダンスの見直しに
     おいて「遺伝毒性試験(S2)」は、遺伝毒性試験の新しい標準的組合せ及び科学的に妥当な範囲での
     実験動物を用いる遺伝毒性試験の削減について検討を行い、2007 年秋にステップ2を目指すこととして
     いた。
    ・2007年10月の横浜において「ガイダンスS2(R1)」について具体的な見直し点(最終修正案)が
     確認された。なお、今般、「ガイダンスS2(R1)」について具体的な最終修正案の説明があったが、
     パブリックコメントされていないため記述は割愛致します。詳細については、今後関係機関を通じて
     公表されるものと思われます。
    ・ICHEWGでは2007年12月末までにステップ2を目指し、2008年6月にはステップ4としてガイドライン
     を制定したいとの事であった。

  4. 追記
    上記記事は安評センター様のご好意により弊社ホームページ掲載につきまして承認を頂いておりますが、文責は全て弊社にある事を明記致します。
(2007年11月16日開催の第15回学術講演会より)

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